自宅の風呂が壊れた。

いえ、経年の劣化のせいか、
浴槽の栓がダメになっただけなんだけどね。

風呂の水を給水しても、じわりじわりと
水が減っていく。
翌朝には、浴槽の中は、すっからかん。

ああ、水漏れなのね。
こりゃあ、ダメだ。

てなわけで、近所のガス屋さんに来てもらう。

しばらく、浴槽の中をいろいろと見ていたけど、

「これは・・浴槽全体を交換しないとダメでしょう」

なんて言いやがる。

げっ・・風呂の栓を変えてもらうだけで、いいんだってば。

で、その場では、即答せずに、
近所の金物屋でも訊いてみる。

水漏れの絶えない、古びた浴槽の話を詳しくしてみると、
じっと話を聞いていた、その金物屋のオヤジが言うには、

「そりゃあ、浴槽ごと、ごっそり交換しないとダメでしょう」

おまえら、グルだな。
もしかして。

で・・・仕方なく、浴槽の工事をしてもらうことに。

さらに、そのガス屋の口車に乗ってしまい、
風呂場を壊して、ユニットバスとかいうものに、
換えさせられてしまった。

ああ、どうしよう。
お金、いくらかかるんだろう??

ところが、実際に風呂場の解体工事にかかってみると、
なんと、風呂場を支える柱が木製で、
その柱の下半分がなくなっていた。

柱がなくなる?

つまり、シロアリに食われて、柱がほぼ、なくなっていたってこと。

は・・柱って、なくなるものなの?

おそるべき、シロアリのパワー!

柱がなくなっているのに、よろよろと支えもナシに
けなげに立っていた風呂場にも拍手を上げたい気分だ。

「ね? だから、工事して良かったでしょ?」

・・・って、ぬけぬけと得意げに話すガス屋には、
少しムカついたけど。

で・・自宅の風呂には入れなくなったので、
仕方なく、近所の銭湯へ。

ああ、銭湯なんて、何年ぶりだろう?
子供の頃、以来?

で、銭湯に行ってみて、驚いたのは、
とにかく、ガラガラだってこと。

客がいない。

昭和の頃の銭湯は、満員だったのになあ。
みんな、もう、銭湯なんて行かないのかなあ。

昔は大勢の人が銭湯にやってきて、
よく持ち物がなくなったりとか、いろいろあったしね。

ところが、今。
自分が入ると、客は自分が1人だけ。
体を洗っている間も自分ひとり。
自分が帰る頃にも、客は自分ひとり。

よく、銭湯、潰れずに頑張っているよ。
まあ、たまたま、その日は
そういう日だったのかもしれないけどね。

ところで、子供の頃は銭湯に行って、
泳ぐのが好きだった。
そして、銭湯で潜るのも好きだったんだけど、
それをやると、いつも大人に怒られる。

銭湯の中で走ったり、泳いだりすると
なぜか怒るジジイが必ず、いたんだ。

まあ、そりゃあ、怒るよね。
マナーっていうより、子供だったからね。
いろいろ わかっていなかったし。

で・・・今なら、できる。

走れるし、泳げるし、潜れる。

だって、客は他に誰もいないから。

さあ、走るぞ!
泳ぐぞ!
潜るぞ。

・・・・・・・。

でも、走らんかった。
泳がなかった。
潜らなかった。

なんで?

なんでって・・・・・・・・そりゃあ、
もう、大人になってしまったから。



悲しいなあ。